14,000人アンケートから見えた!『石川県とトキの真実』開催しました!!
- 日時:令和2年11月14日(土)
- 話題提供:西屋 馨(NPO法人日本中国朱鷺保護協会事務局長・いしかわ自然学校インストラクター・石川県希少野生動植物保全推進委員)
~トキから学ぶ環境保護活動~
朱鷺(学名:ニッポニア・ニッポン)。しばしば日本を象徴する鳥として呼ばれますが、石川県とトキの歴史は意外と知られていないのではないでしょうか。
今回の土曜環境サロンは、20年前から能登で、トキ保護活動を後世に語り継げる活動をしている、いしかわ自然学校インストラクターが登場。長年にわたるトキの保護活動経験からのお話しが盛沢山でした。
西屋氏は、ある日、稲作に除草剤や殺虫剤を散布しているのを見て、「こんな農薬漬けの地域にトキが来ても生きていけないのではないか?」と、トキの保護活動に疑問が湧き、自然環境等のあらゆる勉強会に参加してトキ保護に関するヒントを得ました。また、トキの歴史を語り継げる人間の減少を考えた時に、能登半島在住のご長寿の方々へのアンケートを思いつき、宝達志水町から珠洲市の小中学生家庭を通して14,000人に「かつてのトキ目撃調査」を実施。 トキって見たことある?いつ見た?どこで見た?・・。数百の情報が集まり、追跡聞き取り調査の結果、石川県での多くの実態を知る事ができました。
トキの生態や子育ての不思議、トキが歴史に翻弄された時代、トキ絶滅からの復活、中国との交流、飼育増殖の弊害、石川の空をはばたくトキ、トキへの思いなど、アンケート結果や長年にわたるトキの保護活動経験からのお話しがありました。
トキに関心を持ち、守って行くために、毎日トキを見ている中国の子供達に絵をかいてもらい、優秀な作品を表彰するイベントを行ったところ、大盛況でした。それ以降、日本の子供達からもトキの絵を募集し「トキの絵コンテスト」を行っています。
佐渡島では1967年、トキの保護センターを設置し、トキの増殖事業の一環として、ビオトープを作る等の保護活動も行っています。
いしかわ動物園では、2016年にトキ里山館を設置し、一般公開をしています。
“トキが安全に生きられる環境を取り戻すことが出来ると、人間も安全に生きられる・・” 西屋氏の強い思いが、保護活動の原動力となっています。
最後に皆さんで“羽ばたくトキ”の折り紙を折りました。貴重なお話しを通して、石川の自然を取り巻く課題や将来を意識し、一人一人が環境保護を考えるきっかけになればと願っております。
<参加者より>
- 大変貴重な活動がなされており、感銘を受けました。自分ではまねできないような取組ばかりでしたが、自分なりに少しでも環境に配慮する取組をしたいと思います。
- トキについて、これまで考えたことが無かったけれど、よく理解できました。
- トキの保護が皇室の行事に迄つながる事を知り、びっくり。良いお話しをありがとうございます。
- 生物濃縮にびっくりしました。
- 我が家のまわりには、去年まで米づくりをしていた田が耕作放棄されてしまいました。今年は昨年のこぼれ種で米が実り、水鳥のエサにでもなればなと思っております。何か役に立つことで使ってもらえないかなと思っております。
- いしかわ動物園にトキの展示があることは知っていましたが、今日聞いた内容までは、ほとんど知りませんでした。いしかわ自然学校のインストラクターには、本当におもしろい方がいらっしゃるのだと、この土曜サロンに参加する度に思います。トキの飛ぶ奥能登の県立高校を活用(高校生の活用)を検討したらよいのではないでしょうか。